泣きはらした話その3「アルジャーノンに花束を」 ダニエル キイス [小説]
学生の頃の先輩が、本を読んで感動したいならこの本、と言っていた。題名はよく聞いていた。でもひねくれものなので、みんなが読んでいるときに流行に乗ったように読むのは何となく嫌だったので、あまり騒がれなくなった頃に読んでみた。騒がれていたのは知っていたけどどういうストーリーかは全く知らなかった。
アルジャーノンとはねずみの名前だった。そして主人公と共に脳の実験の被験者である。天才になっていき、天才になってしまったがゆえにその後の自分の行く末が分かってしまう。が、最後は自分が不幸と思ってはいない。幸せだと思っている。そこが泣けてしまう。人間の素直さ、賢さ、意地悪さ、知性、そういうものの性質とか係わり合いとかを考えた。自分はどこの部類に入るだろうか、確かに外見で人を評価してるかもしれない、驕ってはいないだろうか、と反省させられた。
ひらがなのつたない文章から、難しい言葉の混じった文章へ、そしてまたひらがなの文章へ変化していく。原文から翻訳するのも大変な作業なんだろうけど、やりがいがあるんだろうと思う。
片手間に翻訳をやりたいと一時期思ったことがある。好きな本を読めるし、それでお金がもらえるなら、と思った。でもほんとにやるなら、英語圏の文化をちゃんと知らないとできない、聖書も知らないと分からない部分がたくさんある、勉強し続けないとできない大変な仕事だ、ということがある時分かって、とても片手間で出来る仕事じゃないと思った。著者の伝えたいことを、ニュアンスも含めて正しく読者に伝えるということは、責任の重いことだと感じる。
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