岩に立つ 三浦綾子 [小説]
読んでいて痛快なエピソード満載という感じの小説。正義感にあふれ、相手が上司だろうと権力者だろうと大きな声ではっきりと自分の考えを主張する。真面目だけど、暗くない、からっとした明るい前向きで純粋な性格と、キリスト教を自然体で感覚的に自分の体の中に取り入れるようにすることが出来る考え方が主人公の人間性を作り出している。幸福とはいえない少年時代を過ごしながら、ずるいこと、悪いことを許さない。なるべく対立は避けようと、言いたいことも言えずに黙りがちになる日本人に対して叱咤しているようでもある。ほんとに作ったような話ばかりなのに、実在のモデルがいるというので驚いた。自分の信念をもって誠意をこめて話せば、たいていの人間には通じるということに勇気付けられる。それでも誠意が通じない、「暖簾に腕押し」のような人間は存在するのは残念なことではあるが。
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