庭仕事の愉しみ ヘルマン ヘッセ [随筆]
年取って、のんびり暮らすことができるような生活になったら、こんな暮らしもいいな、と思わせる随筆。日本ではちょっと風景が違うとは思うけど、ヘッセの詩と水彩画と一緒になって田舎の風景が頭に浮かぶ。自分で土いじりはほとんどしたことがないけど、親がしているのは時々見ていた。読んでいる間は土や草のにおいが漂ってくる気さえする。土や草のにおいは嫌いではないし、自然を好む日本人なら誰でも共感できる、園芸書というのとはちょっと違う哲学的なことも考えさせる随筆ではないかと思う。のんびり暮らすようになったらもう一度読み返したい。けど何十年後のことだろう?
幸田文 [随筆]
どの作品もしゃきしゃきっとした語り口が気持ちよい。幸田露伴がどんな人だったのか、娘に対する教育がどんなものだったのかをうかがい知ることができる。掃除や料理に関しても、こんなふうにするのか、本来順序ってものがちゃんとあるんだな、と思う。今の人でちゃんと知っている人はほとんどいない(と思う)のは残念。近代化に伴って失われてしまった日本文化がたくさん描かれている。父親、弟の存在がこの人を作り上げている。小説にしてもこの人の生き方や考え方が大きく反映されていると思う。娘の青木玉や孫の青木奈緒も文章を書いている。まだ読んでいないけどいずれ読んでみたいと思う。