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複合汚染  有吉佐和子 [社会問題]

小説なのか、随筆なのか、何なのか分からない。読み進んでいくうちに、周りにあるもの全てが怖ろしいものに思えてきてしまう。公害を顧みることのなかった高度成長期を経て様々な病気や不具合が生じてきたからこそ、消費者の意識が高まったのかもしれない。もっと早く意識が高まっていたら、とは思うが、政府が国民の健康をどれくらい考えているか、この小説が出た頃と変わっているかどうかは疑問だ。最近のアスベストに関して考えてみても。一定期間を経てそのポストを外れれば、責任は負わずにすむ。役人には、権益は利用しても、面倒なことは見ない振りをする事なかれ主義な人が多いと感じるのは私だけではないと思う。
今はもっと安全な社会になっていると信じたい。が、危険なものはまだまだたくさん潜んでいる。自分だけ気をつけても体の中には有害なものが侵入してくる。まだ日本人の意識は低いんじゃないか、役人に頼りすぎ、信じすぎなのではないか、自分たちで何とかしようとする気持ちが少ないんじゃないか、と思う。この話は、女の人でないと書けないものなんじゃないかと思った。食料にしても洗濯にしても生活に密着しているから。横丁のご隠居さんとの会話が、より分かりやすい説明となり、ホッとさせたり笑わせたりする、けれども素朴な疑問が鋭い指摘であったりする。

複合汚染

複合汚染

  • 作者: 有吉 佐和子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1979/05
  • メディア: 文庫


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