泣きはらした話その1「壬生義士伝」 浅田次郎 [小説]
その日は当直だった。そろそろ皆寝静まった夜の11時前、当直室に入ってふう、と一息ついていたときに、つい目に入ってしまったのがこの文庫本だった。もともと新撰組は好きで、というか司馬遼太郎の「燃えよ、剣」を学生時代に読んで土方歳三のファンになっていて、さらに5年前くらいに函館を旅行したときに初めて写真を見て、「うわ、思ってたよりかっこいい」とさらにファンになっていた。
で、新撰組の話か、ちょっと読んでみようかな、くらいの気持ちで読み始めた。いつもなら、電話が入ったり、なんだかんだ邪魔が入るのだが、なぜかその日は一度も邪魔が入らなかった。読み始めは、「なにこれ、なんだか読みにくいなあ」と思っていた。場面(時期)が行ったり来たりするし、いまいちぱっとしない男の話みたいだし…。ところが読み進んでいくうちにかなりはまり込んでいた。上の最後のほうはもう既にぼろぼろ泣いていた。上を読み終わったのは1時過ぎだった。でもそのまま寝るには入り込みすぎていた。そのまま誰にも邪魔されないまま下に突入し、最後まで読んでしまった。読み終わったのは4時前くらい。故郷や家族を思う気持ち、故郷に残してきた長男と、長男の学校での話にも泣かされ、長男が函館まで行くところにも泣かされ、「参った」。浅田次郎の本はそれまで読んだことがなく、「鉄道員」の映画を見ただけだったのでよく知らなかったが、うまい、と思った。映画化もドラマ化もされているけれど、私の中でのイメージが壊れてしまいそうなのでどちらも見ていない。見た人によると映画もドラマもよかった、というので、見ようかどうしようか迷っている。
翌朝赤く腫れた私の眼を見て、「昨日大変だったの?」と寝られないほど仕事があったかと思われてしまった。
ついでにNHKの大河ドラマ「新選組!」は、土方歳三がかっこよかったのと演技もよかったので、個人的にはまあまあ気に入っている。けど函館まで行かなかったのがちと残念。
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